『羽衣伝説の記憶』

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警視庁捜査1課の吉敷竹史は、ふと入った画廊で作者のない"羽衣伝説"と題された彫金を目にした。これは、別れた妻・通子の作品では?妻への思いをかきたてられた吉敷は、ホステス殺しの真犯人を追いつつ訪れた伝説の地で、意外にも妻の出生の秘密に行きあたる。好評吉敷シリーズ異色の文庫書き下ろしラブ・ストーリーamazon紹介より

『北の夕鶴~』事件に続く「通子サーガ」第2弾です。前作で運命的な再会を果たした二人ですが、またしても離れ離れになってしまいます。そんな中、吉敷が偶然入った画廊で通子が作った彫金と出会う・・・。
これはもう運命以外のなにものでもないでしょう(笑)。というか、いくらなんでも普通は小さい彫金見ただけじゃあ行動起こさないでしょう~。吉敷さん、ほんとに通子さんの事が好きなんだな~、と納得せざるえないです。

物語の中心は現在の事件ではなく、過去の事件です。慕っていた女性と母の対立、そして2人の死。
その裏に隠された女性同士の陰湿な確執と真相には、正直ダークになりました。
いくら過去の重石を取り除くために真相を通子に伝えるといっても、こんな事知ったら余計暗い気持ちになりそうです。

ただ、救いなのは島田さんの叙情的な文章によって、それなりにロマンチックな味わいがあることでしょうか。
ミステリというよりは恋愛小説的なテイストの方が強いので、前作を読んでないとちょっと辛いかも。

それにしても、通子さん不幸すぎるよ~。


総合2.5