『骸の爪』(☆3.0) 著者:道尾秀介

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20年前から瑞祥房に脈々と息づく死者の怨念に真備が挑む、シリーズ第2弾。;「オン……リ……マリ……」取材のため、滋賀県の仏所・瑞祥房を訪れたホラー作家の道尾は、深夜の工房で不気味な囁き声を聞く。仏師たちにその話をすると、全員黙り込み、彼は瑞祥房からの退去を求められた。東京に戻った彼は、血の涙を流す仏の写真を手に霊現象探求所の友人・真備の元を訪れた。それから巻き起こる仏師の連続失踪事件の真相は? 第5回ホラーサスペンス大賞・特別賞受賞作家、渾身の書き下ろし。

yahoo紹介より

 

さてさて今年最後の書評となります今月3冊目の道尾さん。
著者の作品で唯一読んでない『背の眼』の続編ですが、いいんかいな先にこっちを読んで^^;;
作中でも時折その事件に触れられてるようですが、まあそんなに差し支えないってな感じなんでしょうかね。

 

内容的には『向日葵の咲かない夏』と『シャドウ』の中間、やや本格寄りな感じですかね。
それにしても、ああ中途半端・・・ってな印象でした。
持ち味ともいうべき(?)ホラー的妖しさ全開の前半と、それらが畳み掛けるように論理的に解明される後半。
その後半部分の論理が弱い。説得力がないというよりは、前半の妖しすぎる光景(特に仏像に関する怪異のあたり)に較べると、ああ!!そうだったのか!!という感動があまりにも薄かった。
それだったらどこか曖昧な部分を残してもよかったんじゃないかな~。ミスリード的な表現も『シャドウ』のそれに較べると露骨すぎてちょっと。

 

多分、この小説に限って言えば会話の書き方がすごく下手な感じがするんですよね。
ぎこちなさもそうなんですが、怖がるにせよ謎をほのめかすにせよ下手なB級映画のような、あまりにストレートな言葉遣いが多くて興醒めするのかもしれませんな。
ラストの終わり方もどんでん返しというよりは、もう唐突というかなんというか。
これをするよりはもっと抽象的な終わり方をした方が印象に残ったと思うんだけどな~。

 

しかしなにより致命的なのは怖くないことかもしれない(笑)。


採点   3.0

(2006.12.31 ブログ再録)