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『犬神家の一族』 監督:市川崑

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 “角川映画”の第1回作品として76年に製作され大ヒットした横溝正史原作ミステリーを、豪華キャストを迎え市川崑監督自らが再びメガフォンをとり完全リメイク。名探偵・金田一耕助役はオリジナル版と同じく石坂浩二が演じる。犬神家の一族に遺された巨額の財産を巡って凄惨な殺人事件が発生、解決に乗り出した金田一耕助の名推理が驚愕の真相を明らかにしていく。
 信州の犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛が永眠した。佐兵衛には腹違いの3人の娘、松子、竹子、梅子がおり、それぞれに佐清、佐武、佐智という息子がいた。さらに、犬神家の屋敷には佐兵衛の恩人の孫娘である野々宮珠世も住んでいた。しかし、全員が固唾をのんで見守るなか公開された遺言状には、「佐清、佐武、佐智のいずれかとの結婚を条件に、犬神家の全財産を珠世に譲渡する」と記されていた。この予想だにしない事態に、一族の間で血で血を洗う惨劇が繰り広げられていく。事件の調査を開始した名探偵・金田一耕助は、次第に犬神家の血の系譜の裏にある大きな謎を解き明かしていくのだが…。

監督:  市川崑   	
製作: 黒井和男 	
プロデューサー: 一瀬隆重 	
企画: 椿宜和 	
	濱名一哉 	
	北川直樹 	
	喜多埜裕明 	
原作: 横溝正史犬神家の一族』(角川文庫刊)
脚本: 市川崑 	
	日高真也 	
     長田紀生 	
撮影: 五十畑幸勇 	
視覚効果: 橋本満明 	
美術: 櫻木晶 	
編集: 長田千鶴子 	
音楽: 谷川賢作 	
テーマ曲: 大野雄二 	
監督補佐: 手塚昌明 	
照明: 斉藤薫 	
製作統括: 信国一朗 	
	       榎本和友 	
	       井上雅博 	
調音: 大橋鉄矢 	
録音: 斉藤禎一 	
助監督: 宮村敏正 	
 
出演:石坂浩二      金田一耕助
	松嶋菜々子 	野々宮珠世
	尾上菊之助 	犬神佐清(すけきよ)
	富司純子 	  犬神松子
	松坂慶子 	  犬神竹子
	萬田久子 	  犬神梅子
	葛山信吾 	  犬神佐武(すけたけ)
	池内万作 	  犬神佐智(すけとも)
	螢雪次朗 	  犬神幸吉
	永澤俊矢 	  猿蔵
	石倉三郎 	  藤崎鑑識課員
	尾藤イサオ 	仙波刑事
	嶋田豪         若林久男
	三條美紀 	  お園
	松本美奈子 	青沼菊乃
	林家木久蔵 	柏屋の九平
	三谷幸喜 	  那須ホテルの主人
	深田恭子 	  はる
	奥菜恵 	  犬神小夜子
	岸部一徳 	  犬神寅之助
	大滝秀治 	  大山神官
	草笛光子 	  琴の師匠
	中村玉緒 	  柏屋の女房
	加藤武 	    等々力署長
	中村敦夫 	  古館弁護士
	仲代達矢 	  犬神佐兵衛

 

いや~、見てきました『犬神家の一族』リメイク版。
率直な感想、なんだかな~という感じでございました。これやったらリメイクする必要ないやん。
基本的に台詞やカット割が7割がた同じ。しかも1シーンの長さが微妙に短くなってる気がして、全体として淡白になってる気がしますなあ。
まあ、そういうリメイクの手法もあるんですけど、役者の個性を無視してオリジナル版に当てはめてるからとにかく演技が浮く浮く。
だから独特のあざといカット、顔アップや証拠品アップが安く感じちゃうんだよね~。最初から最後までブツ切れな感覚。
オリジナル版は映画全体に独特の粘りがあったからそれがおどろおどろしく感じましたけど、今回はそんなカットのたびについ笑いが^^;;

 

そもそも、何でもかんでも役者に説明させすぎなので、伝わらない。原作をあまり知らない人にとって細かい事件の背景がどこまで伝わるかが非常に心配。

 

さてさて金田一を演じるのは僕が一番好きな石坂浩二。さすがに老けてますが、そこそこ年齢不詳なのでそこまでの違和感がありませんでした。
たださすがに走る姿には年を感じさせて、ちょっと痛々しかったけど(笑)。
あとオリジナル版とまったく年齢が変わってないように見えた大滝秀治(前作と同じ役で登場)はある意味化物。ただ前回が“オトボケ”って雰囲気だったのに比べ、今回は“ボケ”って感じだったのが、演技とか関係なく大丈夫か?と思ってしまいました^^;;

 

正直、オリジナル版の方が何倍も傑作でしたな。

 

      以降、ネタバレを含みます。ただ基本的に原作と犯人や大まかな流れは一緒なので、原作を読んでれば問題無しです。

 

それにしてもゴムマスクが尾上菊之助そっくりで気持ち悪いよ~(しかもゴムの伸縮性はオリジナルよる3倍増し)。今回は佐清と青沼静馬を両方とも菊之助が演じてますが、眼力だけで演じ分けてます(笑)。
特に青沼静馬の時の目はほとんど歌舞伎の見得状態。ただね~、あまりに眼力が強すぎて謎の復員者がもろ佐清菊之助)でバレてしまうのが難でしょうか^^;;

 

佐清の母親であり事件の犯人でもある松子を演じるのは、実際に菊之助の母親でもある富司純子
正直前作の高峰三枝子の方が数倍迫力があった。でもこれは役者の責任というよりも二人の女優の個性を無視した演出に責任がある気がしましたね~。
基本的に高峰さんは無表情の凄みというか静な迫力を持つ女優さんですが、富司さんはどちらかというと動の魅力を持った人ですからその辺を考慮して作らないと、感情の流れがあざといだけに終わってしまうと思うし、そんな結果になってしまったと思います。

 

そもそも、何でもかんでも役者に説明させすぎなので、伝わらない。原作をあまり知らない人にとって細かい事件の背景がどこまで伝わるかが非常に心配。
松子と佐清の親子愛もねえ、その辺の葛藤が映像として伝わってこないから、同情というよりはなんて身勝手なという感じでねえ。。。

 

あと、仲代さんの犬神佐兵衛はほとんどギャグです(メイクも含め・笑)。とにかく何かあるたびに幽霊のように登場して、なにもせずに消えていきます。
松子の告白シーンにおける殺人場面の回想では、「殺れ」といわんばかりの絵がフラッシュバックで挿入されるし、それがまたオマヌケで・・・。
でも一番笑えるのは、初めて諏訪を訪れた金田一の前で珠世のボートに穴が開いてて、それを助ける為に猿蔵が湖に飛び込む場面で、前作同様思い切り湖面でお腹を打ってた場面でしょうか。そこまでオリジナルと一緒にしなくても^^;;
3姉妹が青沼菊乃を苛めるシーンも大苦笑です・・・。

 

ああ、そういえば今回ほんと珠世さんの影が薄かったですね~、とてもヒロインとは思えんぐらい。
いや松嶋さんは綺麗だと思うし、佇まいもスッとしてて悪くないんですけど、いかんせん出番が少ない。しかも全体的にカットの間の感情の繋がりにおける演出の淡白さが合間って珠世の心のうちが伝わってこないから余計印象に残らないんですよね~。
まあこの点に関しては珠世だけじゃなく、犯人の松子を含めて皆さんそうなんですけどね。基本的には主役のいない群像劇といったほうがいいのか。。。
群像劇の『犬神家の一族』・・・う~ん、そんなの見せられてもねえ(笑)。
とにかくそれなりの豪華というか曲者の役者さんを集めてるのに、まったく個性が生かされてないのはいかがなものか。。。

 

ああ、市川崑も老いたなあ。。。
 

(2006.12.20 ブログ再録)