たいりょうのちょっと一息

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『チルドレン』(☆4.0) 著者:伊坂幸太郎

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まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。信じること、優しいこと、怒ること。それが報いられた瞬間の輝き。ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第一作。

 

WOWOWで放送されたドラマを先に見ての読書。
短編集とみせかけた長編らしいですが、まあ読むほうとしては面白ければどっちでもいいかなと(笑)。

 

とにかく破天荒な男陣内に振り回される語り部達。
言葉上では嫌がりつつも(本当に嫌がってるのかも)、実はどこかで振り回されるのを楽しみにしている。
そう感じさせるくらい陣内の魅力全開な物語。ある意味奥田さんの伊良部か。いやあっちよりはカッコイイかな(笑)。
こんなヤツばっかりの社会は嫌だけど、でも一人ぐらいはいて欲しい。
でも、遠くでこそっとみていたい。
それぐらい人間としての魅力というパワーがすごいんだろうし、それを感じさせてくれるキャラを書けるのはすごいなと正直に思います。
それにちかいキャラとしては『砂漠』に西嶋を思い出しますね。そういえば「チルドレンⅡ」のパートにエピソードだけちょろっと登場する少年、あれって西嶋だよね???
ま、それはともかく陣内の見せ場としては全盲の永瀬が見ず知らずの人間に同情でお金を貰ったことに本気で羨ましがる場面はなかなかグッときますなあ。
あと『チルドレン2』のオチも決まってるし、陣内の底の見えなさを感じさせてくれた。

 

この作品の主題的なものはなんだろ?と考えようかと思ったが別にいいのかもしれない。
これを読んで何をテーマだと感じるかは千差万別だと思うし、それぐらいバラエティに富んでると解釈してくださいまし。

 

さてさてドラマ版との比較をちょっと考えてみると、ドラマは原作のエピソードを武藤というキャラのエピソードに集約させてるある意味ちょっとしたいいとこ取り、さらにそこにオリジナルキャラとして小西真奈美を加えてるって感じ。
ということはかなり脚色している部分もあるんですけど、それでも原作のエッセンスを壊さずむしろ作品の色はきちんと残してたんだなあ~、と思いある意味きちんとしたドラマだったんだね。
その分、先に原作を読みたかったなあ~というちょっと残念な気分にもなりました。


採点   4.0

(2006.9.10 ブログ再録)