たいりょうのちょっと一息

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『マドンナ』(☆4.2) 著者:奥田英朗

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ああ、なんてかわいいオジサン達なんだろう。42歳課長、部下に密かにときめく。46歳課長、息子がダンサー宣言。44歳課長、営業から総務へ異動。課長さんたちの日常。そこにある愛しき物'''語5編を収録。

 

情けなくも愛らしい、中間管理職のサラリーマンの苦悩の一コマを描いた短編集。

 

とにかく主役を張る(?)オジサン達の苦悩っぷりがなんともいじらしいというかなんというか(笑)。
僕の場合一風変わった会社に勤めていたので、あまりこういった悲哀は感じたことはなかったですが、でもついつい分る分ると頷きつつ、一気に読み通しましたね~(笑)。

 

男ってたださえ意味も無く見栄っ張りだったりするのに、年をとっていくにつれて見栄を張らなきゃいけない対象が多くなっていって四苦八苦しちゃう情けなさを持ってるのかもな~。で、あまりにいっぱいいっぱいでこっちに見栄を張ってると同時に別の方に見栄を張るのを忘れて無意識に傷つけたり馬鹿にされたり。
そういった意味では女性の方が見栄を張る場面をきっちりと心得てる気がするのは僕だけでしょうか。
おっとこんな事言って怒られないうちにそれぞれの短編紹介を。

 

『マドンナ』
人事異動で営業三課に配属になった女性社員を相手に密かに夢想してしまう課長。
可愛いというかなんといますか、自分で夢想だと割り切ってるのに、ついつい後輩の男性社員に嫉妬して、あげくの果てには。。。
こういう人って多いんじゃないかな~、と思わずうなる一品ですね~。奥さんの問い詰め方も素晴らしいと思います。

 

『ダンス』
家では息子がダンサー宣言、会社ではマイペースな同期の処遇に苦労する課長。
実際こういう家庭は多いんじゃないでしょうか。父親は最後の最後にでていくのが威厳だ~、といいつつ実は説得する自信がなかったり。
同僚との関係が転換する部分ではやや物足りなさを感じつつも、この物足りなさがリアルなのかと思ったりして。

 

『総務は女房』
昇進人事の前のワックションとして配属された総務課のせせこましい不正に怒りする課長。
ある意味典型的なエリート思考を描きつつも、次々と主人公を説得しようとする脇役達がなんかリアルでおもしろいなあ。
独身で、なおかつ総務のあるような会社に勤めた経験の無い僕ですが、「総務と女房に勝ってはいけない」という言葉が妙に突き刺さりました(笑)。

 

『ボス』
新しくきた女性部長の欧米型の能率主義の導入に戸惑い怒る課長。
実際ここまで上手くいくのかは謎なんですが、それでも女性部長のスキの無さっぷりはカッコイイ。
そして最後に見せる裏の顔がなんだか微笑ましいんですよ~。奥さんの裏も顔もいい。
なにより山崎まさよしジョニー黒木という人選がなんだかツボを心得ていて憎いっす!!

 

『パティオ』
停滞する新都市開発現場でいつも一人で読書している老人が気になってしょうがない課長。
物語のあたりさわりの無さは収録作の中でもこれが一番薄いかな~。
逆にこれこそ日常の一コマというリアルさとほんわかさが漂う、まさにデザート的(?)な作品。


平凡なストーリとあっさりとした語り口、なのに読み終わると心はホンワカ。
別に登場人物達がかっこよく生きてるわけでもないのにね~。なんだか元気がでる短編集でした♪


採点   4.2

(2006.9.9 ブログ再録)