たいりょうのちょっと一息

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『イン・ザ・プール』(☆4.0) 著者:奥田英朗

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「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖・・・。
訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。
こいつは利口か、馬鹿か?名医か?ヤブ医者か?

 

奥田さんの精神科医伊良部物です。『空中ブランコ』の方を先に読みましたが、こちらの方がシリーズとしては最初ですね。

 

いやあ伊良部先生、1作目から壊れてますね~。『空中~』ではあまり見れなかったマザコンモードもこの作品では全開でした。
ただ『空中~』に較べると、ちゃんと医療のつもりで行動してるのかもしれないという気がして、もしかしたら名医かもと思わなくもありませんでした。
自分が診察されるのは勘弁ですけどね^^;;

 

それにしてもタイトルを見た時に一番気になったのは「勃ちっ放し」でしょう。
もうタイトルからイメージするとおり、男性のチ○コがずっとでかいままという病気なんですが、読みながら「あ~こういう状態だと結局痛くなっちゃうのか~」と妙なところで関心したりました。

 

全体に漂う雰囲気はライトで読みやすい。神経症を扱った作品にイメージされるようなお堅い感じは微塵もないですし、とことんへんな患者と伊良部の奇行を楽しみながらさくさくさくさく読めちゃいます、ハイ。そのわりに結構なるほどな~と思ってしまう部分もあって、作者の筆力に感心してしまいました。

 

個人的に一番好きだったのはフレンドかな。
治療の経緯という意味ではややアバウトな作品集の中で、なんとなくこれが一番しっくりきたかも。
現代の若者の友情関係の描き方も秀逸だし、なにより愛しのナース「マユミちゃん」の魅力が光ってた(気がする。。。)

 

どの作品も現実離れした病気ばかりにも関わらず、どこかおかしみのあるリアルを感じさせてくれる短編集。
ぜひぜひこの勢いのままシリーズを書き続けてもらいたいものである。


採点   4.0

(2006.8.16 ブログ再録)