たいりょうのちょっと一息

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『黄昏の百合の骨』(☆4.0) 著者:恩田陸

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「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた…。華麗なる恩田ミステリー。

Yahoo紹介

 

『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『黒と茶の幻想』に続くシリーズ(?)第4弾。
今回は『三月~』『麦の海~』、そして『図書館の海』に収録されている「睡蓮」に登場する水野理瀬が主人公。さてさて時間軸順に並べると架空の小説に登場する『三月~』を覗くと、「睡蓮」『麦の海~』そしてこの『黄昏~』になるんでしょうか?(間違っていたら教えて下さいませ^^;)

 

過去の作品の中でもこの小説が一番正統派なミステリに近いかなと思います。「魔女の館」を中心に巻き起こる謎の事件、表面上は日常を装いながらもお互いの行動を常に疑っている登場人物たち。
厳格な祖母の遺言と隠された謎に翻弄される美少女と美青年、妖艶な中年女性・・・舞台となる館の雰囲気やキーワードとなる百合の花など、全体的に退廃的なゴシックホラー調の雰囲気が漂ってます。さらには地の文における3人称の表現を確信犯的にぼやけさせる恩田さんの文章が、物語全体の謎をより深くしていって、それまでのシリーズに較べても分量は少ないながら、一気に読ませてくれるかな。

 

ミステリ好きとしては、ある意味一番安心して読める作品でした。事件の真相もまさにミステリ!!っていう感じで、意外性もきっちり感じさせてくれます。
しかしながらそこで終わらないのが恩田作品。真相解明後のエピローグともいうべきラストの部分。
現実と非現実が織り交ざった内容に読者は目眩をおこしてしまうんじゃないでしょうか。とはいっても決して置いてけぼりという感じでもないと思いますし、比較的恩田さんが苦手な方でもわりと読みやすい部分に入ると思います

 

それにしても、物語が続くのだ的(ようするにいつか書かれるであろう恩田作品の予告?)な要素もこのシリーズの共通点なんでしょうか(笑)。

 

ちなみにこの作品を読む前に、少なくとも「麦の海に沈む果実」は読んでおいて欲しいところです。

 

採点   4.0

(2006.7.22 ブログ再録)