『失踪HOLIDAY』(☆2.8) 著者:乙一

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14歳の冬休み、わたしはいなくなった―。大金持ちのひとり娘ナオはママハハとの大喧嘩のすえ、衝動的に家出!その失踪先は…となりの建物!!こっそりと家族の大騒ぎを監視していたナオだったが、事態は思わぬ方向に転がって…!?心からやすらげる場所を求める果敢で無敵な女の子の物語。その他うまく生きられない「僕」とやさしい幽霊の切ない一瞬、「しあわせは子猫のかたち」を収録。きみが抱える痛みに、そっと触れます。

Yahoo紹介

 

『しあわせは子猫のかたち』については『失はれる物語』の記事を参考にしてみて下さい。僕はかなり好きなほうですね。

 

そして『失踪HOLIDAY』ですが、面白いです。主人公のナオ、使用人クニコの人物像はキュートで彼女達の会話のテンポは乙一調ではあります。
ただ、なんでしょう、なにか物足りない。
結末も結構皮肉の聞いたものになりつつも、でも不快感が残るわけでもないし、悪くはないです。ただ、そこにいたるクニコの考え方やもう一人の重要人物の存在がかなり記号的になってしまってるのはちょっとらしくないかな、という気もします。だから結構心に残ったかもしれないラストが、ああよかったね程度で終わってしまっていて、物足りなさが残ってしまいましたね。
事件の結末に関して、おそらく大部分の人がラストまでには真相にたどり着けるだろうというものだけに、ストーリーでもう少し見せてほしい。

 

イラストはかわいかったですが、乙一作品としてみるとちょっと平凡かな~。
ここまで書ければ読むのに苦痛ってことはないんですけどね。


採点   2.8

(2006.7.4 ブログ再録)