たいりょうのちょっと一息

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『ロンドン園遊会(ガーデンパーティー)殺人事件(上下巻)』 (☆3.3)著者:井上ほのか

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―この神殿で怪物の宝に手をつけた盗人は、ラコシに追われて必ず生命を落とす―ウィンタース家に長年伝わるラコシの呪いが、パーティーの日、よみがえった。次々に起こる爆発、殺人。われらがミス・マンディまでが危うい目に―。さあ、僕の出番だ。悪人ども、ここからはこのセディ・エロルがお相手をするよ。待望のシリーズ第4弾、いよいよ登場。(上巻)

「死体が消えたッ。まさかあの石棺から」信じられないことだったが、地下納骨堂から遺体が忽然と消えてしまっていたという。しかも後には一通の文面が残っていた。「ラコシへの捧げものは、ラコシが守っている。この忠言に従わぬときは、罪あるものは死なねばならぬ。二人目は水で死ぬ。三人目は火で死ぬだろう」犯人からの新しいメッセージらしい。…セディ・エロル、命がけの解決編。(下巻)

Yahoo紹介

 

講談社Ⅹ文庫です、ティーンズハートです。この小説の最大の難関は外で読むのがちと恥ずかしいということでした。

 

わかってはいましたが、登場人物はやっぱりあれですね。主人公の眉子はハーフの少女で気絶すると架空の少年探偵セディ・エロルになっちゃいます。他にも世界悪党ランキング(窃盗犯の部)一位の美形怪盗、由緒ある貴族にしてスコットランド・ヤードのこれまた美形、さらにマッドな科学者と美人秘書、ヒロインの恋人である青年助手など、ある意味期待は裏切ってくれません^^;

 

そしてこの系統の本にみられる独特の文章。
上巻第1章の最初の小見出し<<大好きな人たちの噂をするの!―主人公・眉子のひとりごとから>>、うーんわかりやすい。
ちなみにこの部分、11ページ中9ページがヒロインの独白、さらにそのうち5ページが自分の恋人がいかに魅力的かを語っております、トホホ・・・。
またやたら同じ説明の繰り返しが多いこと、地の文が脈絡無く3人称から2人称にかわったり、1人称の語り場同じ場面で唐突に入れ替わりを繰り返したり・・・。
これは文章が下手というより、X文庫文法というべきものなんでしょうね^^;

 

しかし通して読んでみると実はガチガチの本格ですね~。しかも小道具として由緒ある名家に届く脅迫状、呪い、夢遊病の美少女、隠された財宝、爆破事件に相次ぐ殺人、死体消失といったクラシカルな探偵小説を彷彿させるものばかり。
解決に至るロジックもかなりまとまって(一部論理の飛躍はありますが)読み応えが十分あったりします。

 

さらにこの小説の振るっているところは、上巻が終わった段階で事件の実行犯が分かってしまうということですね。これは確実です、なぜなら探偵がそう断言しているからです。実は実行犯を操る陰の真犯人がいるんですね~。
けれどもそれだけわかっていながら、真犯人の正体を当てられる人はほとんどいないのではないでしょうか?
少なくとも、僕は犯人の名が明らかになった時には愕然とさせられました^^;

 

この手の文章が大丈夫(とはいっても改行は少ないですよ♪)な人は手にとってみるのも宜しいかと思います。
それにしてもヒロインを美青年が奪い合うといったようなお約束的な設定があるとはいえ、ここまでガチガチなミステリーシリーズが人気あるとは。
読書の裾野はまだまだ広いですね~


採点   3.3

(2006.7.4 ブログ再録)