『フリッカー式~鏡公彦にうってつけの殺人~』(☆2.8) 著者:佐藤友哉

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妹が死んだ。自殺だった、と僕のイカれた家族は云うが。そして現れた男。手にはビデオ。内容は妹のレイプ中継。渡されたのはレイプ魔どもの愛娘達の克明すぎる行動表。こうされちゃあ、する事は一つ。これが自然な思考だね。そして僕は、少女達の捕獲を開始した。
その果てに・・・こんな馬鹿げた世界が用意されているなんて知りもせず。

Yahoo紹介
第21回メフィスト賞受賞作品です。ちなみにこれ、ストーリーの半分しか紹介していません。もう半分は

 

私は病気。でも誰にも相談できない。絶対に云えないよ。七十七人の少女を屠った連続殺人犯、突き刺しジャック。彼が少女を殺す時・・・彼の視覚が私の視覚に接続するの。怖いよ。もう駄目。しかも彼は、私の存在を知っている。そして私は、彼に立ち向かってしまった。
その向こう側に、こんな馬鹿げた世界が用意されているなんて知りもせず。

本書あらすじより

 

ようはこの2つのストーリーが同時進行していき、ラストで1本に収束されるというストーリー
・・・なんですが、ラストできちんと収束されているのか僕もよくわかりません。

 

もうあっちこっち破綻しているというか、主人公の公彦(妹をレイプされた方)の思考回路が吹っ飛んじゃってるので、伏線があっても狂いの中に埋没されてる・・・というか登場人物のほとんどがぶっ飛んでるので、思考を働かせても多分意味ないでしょう。
ただラストの、狂いのオーバードライブともいうべきウェーブが最高潮に達して、とりあえず目の前に敵がいたら問答無用で発せられるJOJOのオラオラ状態のようなものを、かなりハイテンションでかましてくれます。とりあえず皆さん大集合で、元気玉!!
そんな感じで、妙にメデタシメデタシ(?)。恐ろしいことにぼくはこの小説のある部分で涙ぐんでます、ハイ!!

 

なんだか面白そう!!と思いましたか?そんなあなたに最大の難関

 

文章が下手!!

 

これは相当きつかった。メフィスト賞の過去の受賞者にインスパイア(特に舞城さんあたり?)されて、自分流の文章を構築しようとしてるのがかなり伝わってくるんですが・・・頼む、開発しないでくれ・・・なぜ突然句読点がなくなるんですか?基準が分かりません・・・時々誰が喋ってるのか分からなくなったり、登場人物の会話年齢というか会話パターンが一場面の中で脈絡も無く変わったり・・・ネットの(笑)のような感情表現を括弧でくくる手法・・・浮いてます。舞城さんだって、計算してあの文章だと思うよ佐藤さん。
ああ、なんだか綾辻氏の「囁き」シリーズと薬師丸ひろ子の歌う「Wの悲劇」の主題歌にインスパイアされた僕の未完の長編推理小説を思い出してしまいました・・・。

 

それにしても採点に困る・・・破綻ぶりには光るものがあるものの、それを支えてるようで支えてない稚拙な文書はやっぱりきついかな~。
とりあえず・・・読んでみますか?

 

採点   2.8