たいりょうのちょっと一息

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『過ぎ行く風はみどり色』(☆4.0) 著者:倉知淳

 

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亡き妻に謝罪したい―引退した不動産業者・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのは霊媒だった。インチキを暴こうとする超 常現象の研究者までが方城家を訪れ騒然とする中、密室状況下で兵馬が撲殺される。霊媒は悪霊の仕業と主張、かくて行なわれた調伏のための降霊会で第二の惨 劇が勃発する。名探偵・猫丸先輩が全ての謎を解き明かす、本格探偵小説の雄編。

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ワールドカップ観戦で読書ペースが落ち、久々の読書は猫丸先輩です。
前に猫丸先輩の別の本の記事で、オススメはこれだということで読んでみました。猫丸さんでは初の長編です。

 

良かったです、ホント。
ほとんどが二人の人物からの視点で描かれている訳ですが、特に女性(ヒロイン的な役回りですね、多分)の語り口が情感に溢れてさらに柔らかいというか、冒頭から物語の中に引き込んでくれます。解説の法月さんが天然カーと語ってる通り、胡散臭い霊媒や盛りだくさんの怪しいグッズ、オカルト要素、さらに極めつけは密室殺人、などなどまさにカーな要素に溢れてます(ていうほどカーを読んでない僕ですが^^;;)。

 

ただそれだけじゃなくきちんと人間の心理を細やかに描いているので、事件の真相が明らかになった部分でもすごく感情移入できました。密室トリックにしても、特に脱出方法なんか1歩間違えると無理だろ~と思うんですが、でももし自分だったらと思うと納得出来たり。

 

さらにラストで猫丸先輩と刑事の会話なんかは、結構グッと来ますよ~。正直ここまでストレートな優しさを出す猫丸先輩は初めてでしたが、これを見るとファンになっちゃいますよね。
エピローグの予知夢に関する処理の仕方も物語にぴったり合ってます。

 

犯人に関しては分かりました(可能性論なので方法はちょっと)し、ヒロインの隠された謎もわかったんですが、それがどう事件に結びつくのが分からなくて、真相が明らかになった時には、作者の仕掛けた罠に、あ~そっか~、なんで気付かなかったんやろと思いましたね~。2番目の殺人のトリックは・・・想像つかないでしょ、コレ。

 

それにしても全編に渡って、ストーリーとトリックの両方に人間を盛り込んでなおかつ後味の良さを醸し出してる倉知さん、寡作なのがもったいないよ~。



採点   4.0

(2006.6.14 ブログ再録)