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『平家伝説殺人事件』(☆3.0) 著者:内田康夫

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高知行きのフェリーから転落死した男には巨額の保険金がかけられていた。2年後、東京のマンションで男が奇怪な自殺をとげる。一見無関係な二つの事件だ が、探偵・浅見光彦は、友人のフェリーの航海士に、死んだ二人の男が2年前の事故の折に同船していたと告げられたことから、捜査に乗り出した。そして男た ちの出身地、土佐・平家落人の里を訪れた浅見の前に現われた美少女。しだいに明らかになっていく意外な事実!?

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内田康夫といえば浅見光彦、著者の3作目にあたる『後鳥羽伝説殺人事件』で初登場して以来
多くの作品で活躍してきました。その活躍ぶりは小説だけでなく映画やドラマにも及び、榎木孝明沢村一樹中村俊介といった2枚目どころが演じてきました。個人的には榎木さんがイメージに近かったのですが、現在は光彦の兄陽一郎役で再登場、これもまた嵌ってます。

 

と、そろそろ本題に。僕は内田作品を全部で69作読んでるわけですが、そこに至ったのはこの『平家伝説殺人事件』がかなり大きな要素をしめてるのです。
浅見光彦シリーズといえば、ヒロインの存在を忘れてはいけません。女性が苦手の光彦さんはしょっちゅう女性に振り回されてますが、この小説のヒロイン稲田佐和とは相思相愛になっちゃってキスシーンまで披露しちゃってます。

 

事件はそのものは、フェリーで起きた転落事件とその2年後に起きたマンション転落事件の死亡者が共に平家落人の村とされる藤ノ川を、友人に調査を依頼された光彦が訪れる。そこで一人の美少女稲田佐和と出会う、ってな感じですね。

 

事件は保険金詐欺あり密室ありと盛り沢山、ただタイトルにある平家伝説はそんなに本編には絡んでこないですが。推理部分と光彦と佐和の恋の行方が入り混じって、読者をぐいぐい引き付けます。
密室トリック自体は割りと古典的な物でがっかりする人もいるかと思います。ただ、これ実際にやってみると結構オオーと思いますよ~♪(というのは高校の学園祭で上演したミステリ寸劇でこのトリックを使わせて頂いた時にお客さんには大好評でしたので)。

 

ただ最終的に真犯人の部分になると、唐突に浮かぶ伏線がすっかり忘れた頃にもう一度浮かびあがったりと若干強引さが残りました。
綾辻さんかだれかがエッセイで語ってた内容によると、内田先生は犯人やトリックを決めずに書き始めるそうな。書いているうちに自分で推理して犯人を決めるということなんでしょうか。この書き方、これはこれで凄いと思うのですが時としてご都合主義になってしまってるような。
この小説でもとりあえず掛けておいた伏線を最後に採用したような腑に落ちない部分が残ったのは確かです。

 

ただやっぱり本編の魅力は佐和の存在であると。今どきこんな純粋な女の子は天然記念物です。マザコン気味の光彦には新鮮だったんじゃないですかね~?とにかく速攻惚れて、ラストでは再会を約束します。
そう、僕はその再会のシーンを読むために浅見光彦シリーズを読み続けたのです。
しかし読めども読めども現れず、ついに69作目の『浅見光彦殺人事件』で断念。それ以降は1冊も読んでいません。
あれから浅見シリーズは書き続けられてますが、はたして再登場はしたんですかねえ?


採点   3.0

(2006.6.9 ブログ再録)