『ふたり探偵 ~寝台特急「カシオペア」の二重密室~』(☆3.2) 著者:黒田研二

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北海道の取材を終えた向河原友梨らムック本の取材班は、寝台特急カシオペア」に乗る。だが友梨は、取材旅行の直前、同僚の笹川耕平が失踪したことに不安を感じていた。彼は、シリアルキラーJに関してある予言をしていたのだ。 一方、友梨の婚約者でJを追う刑事・胡田は、Jに監禁されていた耕平から連絡を受ける。耕平から、Jの標的が「カシオペア」の友梨たち取材班の中の人物だと伝えられた胡田だが、Jの罠に陥り、意識不明の重体に! そのとき、友梨の体にある異変が…!本格推理のニューウェーブ黒田研二が放つ、移動する二重密室の謎とは。 


Amazon紹介より
 

今月は“クロケン”祭りで盛り上がって(?)ますが、これを機に僕もクロケンの世界へ。
クロケンさんの作品は確か、『硝子細工のマトリョーシカ』しか読んでないはず・・・というか『硝子細工~』もまったく覚えていないという不明ぶりです。

はあ~、こういう話弱いんですよね~。すいません、涙がホロリとでちゃいました。
ぶっちゃけ、こういう設定に近い映画とか小説とかありますよね。映画だと『ゴースト ~ニューヨークの幻』(ちょっと違うかな?)、小説だと井上夢人さんの岡嶋二人解散後初の長編『ダレカガナカニイル』とか赤川次郎さんの名作『ふたり』とか・・・全部号泣してますから。
この作品はそこにちょっとアレンジがあって、そこがまた伏線になってて、はあ~なるほど~と思いました。

正直トリックや犯人は、まあそうでしょうね~って感じでしたが、そこに至る伏線をきちんと描いてるのはよかったと思います。
ただやっぱりこの小説の面白さは主人公のカップルの存在じゃないでしょうかね。
恋人とひとつの身体を共有する、ん~ファンタジー的でちょっと憧れますね~。まあ実際そうなったらそれほどいいもんじゃないような気がしますし、刑事の彼からすれば彼女を危険をさらす訳でそのへんは本人も不安でしょうね~。

でも、事件そのものが悲劇的なわりに、下手なメロドマラにならずになんだか爽やか(ラストももこういったものではわりと珍しい展開じゃないんでしょうか?)なのは、クロケンさんの文章の軽やかさにあるんですかね~。
このあたりが、女性陣に“クロケン祭”を開かせる所以???
しかもクロケンさんの中では、そんなに上位に推す声も無いわけで、そうすると他の作品に食指を伸ばしたくなりますね。

ん~、なんだか“クロケン祭実行委員会”の思うツボの気がしてきました・・・。

(2006.5.20 ブログ再録)