『子どもの王様』(☆1.0) 著者:殊能将之

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ショウタの親友トモヤは学校にはほとんど行かず本ばかり読んでいる。そのせいか途方もないつくり話をよくする。この団地の外側には何もない、現に団地の案内図には外側なんて描いてないじゃないかという。今日も学校はあったよとショウタがいうと、昨晩大急ぎで造ったのさ、といった調子だ。他にも団地に住む西の良い魔女と東の悪い魔女の話とか、残虐非道な子どもの王様の話とか…。だがある日、ショウタはトモヤがいうとおりの姿かたちをした男を目撃する。もしかしてあれが子どもを穴蔵に閉じ込め、召し使いとしてこきつかうという子どもの王様? 


Amazon紹介より

 

これはまずいでしょ・・・。
読み終えた後味が、今まで読んだミステリーランドの中でも一番悪いです。
最初の方で主人公の少年や友達の間で流行ってるバラエティ番組の描写がまた。

だって罰ゲームにあつあつの中華あんを顔面にかけるんですよ。
まあ、古今東西こんな罰ゲームをやるバラエティはたくさんありましたよ。
熱湯コマーシャルやガンバルマン、お笑いウルトラクイズ・・・って全部ビートたけしだよ・・・。
確かに子供の頃、結構親と一緒に楽しんでましたよ。で、子供が大人が思ってるよりずっと残酷なんだってことも。
でも、なんか違う。なんだか分かんないけど違和感があるんですよね。

多分この小説が子供の暗い部分だけを切り取ってるのかな。
そりゃ子供のうちから知ってなきゃいけない部分もあると思うし、大人の伝え方次第な部分があると思います。
この小説もそういう狙いも多分あるんだと思うんですよ。
でも、多分僕は殊能さんの伝え方に猛烈に違和感があるんだと思います。
すくなくとも、このシリーズの趣旨に合致してるとは思えませんでした。

で、ラストで主人公は悪者の「こどもの王様」と対決するわけですが、その結末とエピローグにしても、人間のある一面だけをピックアップしすぎてる気がするし、現実をつきつけるにしても、これだと突きつけて、ハイ終わりみたいな感じにしか受け取れないです。

でも、この評価も一方的な見方だと思いますし、シビアに見つめている評価を持つ人もいるかもしれません。ぶっちゃけ、子どもが読んだら面白いと感じると思いますよ。
一応何故ショウタが「子どもの王様」に気付かないのか、って伏線も貼ってます。
それでも僕はこの小説は駄目でした。面白いと思う要素を感じませんでした。あえていうなら地図のイタズラぐらいですよ、ホント・・・・。

 

(2006.5.17 ブログ再録)