『虹果て村の秘密』(☆3.8) 著者:有栖川有栖

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推理作家にどうしてもなりたい12歳の少年・秀介は、憧れの作家二宮ミサトを母にもつ同級生の優希(刑事になりたくてしょうがない)と、虹果て村にあるミサトの別荘で夏休みを過ごすことになった。虹にまつわる七つの言い伝えがあるのどかな村では、最近、高速道路建設をめぐって賛成派と反対派の対立が激しくなっていた。そんな中、密室殺人事件が起こり、二人は事件解明におとなも驚く知恵をしぼる。がんばれ、未来の刑事とミステリ作家。 


Amazon紹介より

これは好き。
警察官の父を持つ秀介と、ミステリ作家二宮ミサトを母にもつ同級生の優希。
でもお互いの将来の夢は秀介が警察官、優希がミステリ作家というコンビが山奥の村で起きた連続殺人事件に挑戦!!

この小学生コンビが、むちゃ生き生きしてるのがいいですよね~。
殺人現場に興味津々に首を突っ込んだかと思えば、夏休みの宿題に頭を悩まし、事件を解決する為に保護者代わりのお姉さんの目を盗み、夜の村へと繰り出して行く・・・。
俺も子供の頃はいろんな事に首突っ込んでたよな~、なんて自分を重ねちゃったりしました。

事件も密室トリックあり足跡の謎ありと、それなりに盛り沢山。
それぞれの謎も、易しからず難しからずといった、ちょ~っと頭を捻れば答えが出てきそうなトコロがちょうどいい感じ。
小学生が実際の殺人事件の解決に一役買うっていう、現実にはありえないシュチュエーションもギリギリの所でクリアしてると思えるし、犯人との対決シーンでは逆に探偵役が小学生だからこそ、この解決法なんだなって思いましよ。
ただ、動機が安直というか普通に俗っぽいのがちょっと興ざめな感もありましたけど。

いろんな意味で有栖川さんが、子供達に面白く読んでもらって、なおかつこれをひとつのきっかけにいろんな面白い本を読んでもらおう、と気を配ってるのがいいなあ。
江神さんシリーズもそうですけど、やっぱりこの人に青春ミステリはいい感じだと思う。
彼らの長編も早く読みたいですけど、このコンビの他の小説も読んでみたいな~。

(2006.5.10 ブログ再録)