たいりょうのちょっと一息

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『葉桜の季節に君を想うということ』(☆4.2)  著者:歌野晶午

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ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた"何でもやってやろう屋"探偵・成瀬将虎。恋愛あり、活劇ありの物語の行方は?そして炸裂する本格魂。 


Amazon紹介より

 刊行された年のミステリ雑誌で軒並み年間1位に推された作品。他の新本格世代に比べると地味ながらも、いろいろな形のミステリを発表した著者がやっと(?)高い評価を得た作品ですね。

 で、個人的にはおもしろかったんですけど、ちまたで言われるような叙述トリックの衝撃は受けなかったです。途中で大体あらすじがよめて、そうなるとこれがこうなってこういう真相かなというのがほとんどあたったので。でも、このある意味正統(と勝手に思ってるだけですが)な叙述ミステリを、ここまでシンプルなネタで書けるあたりは、すごく評価できると思います。

 過去の殺人事件の真相もほぼ予想通り。どこかでこういう話読んだことあるなって感じだったので、犯人以外は当たりましたね。そこが一番肝心だといわれると、その通りですね。

 僕としては、「世界の終わり、あるいは始まり」が結構好きだったので、今度はどういう作風でくるのかなと身構えてた部分(しかも評判が良かったので)もあって、正直物足りなかったん けど、でもミステリとしての完成度は凄く高いと思います。
 叙述ミステリが得意(というか著作のほとんどが・・・)な折原一さんの作品と比べれても、構成がシンプルな分騙されたと気づいたときの爽快感は上かもしれないです。折原さんの場合お約束の力技というか、わかっちゃいるけどみたな安心感が楽しいですね。

 ラストの展開も、この登場人物の構成から考えると、すごく社会人(?)としては駄目な回答をだしてるのになんとなくまあいいかと思わせる。
ほんとうにプロットの勝利のような作品だと思います。

(2006.3.29 ブログ再録)