『ぼくのミステリな日常』(☆3.8) 著者: 若竹七海

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月刊社内報の編集長に抜擢され、若竹七海の不完全燃焼ぎみなOL生活はどこへやら。慣れぬカメラ片手に創刊準備も怠りなく。そこへ「小説を載せろ」とのお達し。プロを頼む予算とてなく社内調達ままならず、大学時代の先輩に泣きついたところ、匿名作家を紹介される。かくして掲載された十二の物語が謎を呼ぶ、贅を凝らしたデビュー作。


Amazon紹介より

北村薫さんの「日常の謎」の流れを汲む作家さんの中でも、個人的には一番好きな作家かもしれない若竹さんのデビュー作ですね。

作中作の形式というか、会社の社内報に連載される形で発表される12本の短編と、そこに隠された物語。
うーん、デビュー作とは思えない完成度!!ひとつひとつの作品もバラエティに富んでて楽しいです。中にはミステリというよりはホラーっぽい作品もあったりして、幅の広さがありますね。

それぞれの短編を味わったあとに明かされる謎。
読んでいてちょっと気になる部分とかあったんですけど、それがラストでこううまく結びついていくと、どんでん返しというよりやられた!!って感じ。読み返すときっちり伏線張ってあるんですよね、しかもたくさん・・・。
しかもラストのラストでもう一度物語を反転させてくれてて、読者としてはちょっと得した気分です。

人によってはそんなに高い評価はもらえないとは思いますけど、僕は何度読んでも楽しめます。
この作品を読んで以来、いまでも相変わらず若竹さんの新作は毎回楽しみに読んでます。
また単純に作者の本のファンなんでしょうね。

(2006.2.21 ブログ再録)