『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』(☆2.9) 著者:島田荘司

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双眼鏡で覗きをしていた男が、豪華マンションの浴室で顔の皮をはがされた若い女の死体を発見!だが、割り出された死亡推定時刻に彼女は、「はやぶさ」に乗っていた。不可能を可能にしたトリツクは何か?時間の壁と"完全犯罪"に敢然と挑む捜査一課の吉敷竹史の前に、第二、第三の殺人が…。。


Amazon紹介より
 

これまたトラベルミステリーと見せかけてて、実はその部分のトリックはたいした事はないという島田ミステリのお約束です。
とにかくアリバイトリックに関しては、もしかしたら西村京太郎氏などと比べてもそんなにたいした事ではないんじゃないかと・・・。

むしろ、この小説の魅力は犯罪のバックボーンのところにあります。安易なところもありますが、基本的にうまく伏線を張ってるというか、ラスト間際のどんでん返しは結構意表をつかれました。今まで表に見えてきたことが、真の動機を隠すために作者が仕掛けた罠というか、そこでそうなるのかと。個人的には納得できました。
ただ、『出雲伝説~』と同様に吉敷が真犯人を暴くため(正確には物証を得るため)に仕掛けた罠がまたしても登場します。
いや、まあ別にいいんですけど、こんなに安易に一般人を使っちゃっても大丈夫なの?と思ってしまうところもちょっとあるんですよね~。

ところで、国内(地方)を舞台にした島田さんの小説に出てくる女性のバックボーンって結構似てますよね。貧乏、不仲な家族関係、嫉妬、などなど。
どこかのレビューでも言ったんですけど、島田さんの女性像ってやっぱり偏ってる気がしますね~。
読んでてまたこれかよ~、と思わないでもないです。

小説の出来としては、可もなく不可もなくみたいな印象です。設定そのものもアリバイトリックの小説内におけるバランスが少し悪く感じて、ちょっと読みにくいかも。
どうでもいいのですが、ノベルスの挿絵が強烈です。

(2005.12.22 ブログ再録)