Amazon紹介より
今、自分の中でどう評価していいか悩んでる作家の一人、石持さんの最新作(?)です。
内容としては、大切な友人の死を巡ってその真相をつかもうとする五人の友人たちの推理合戦っていうんですか。
彼女は何故自殺したのか?自殺に協力した人間がいるのか、いるとしたら誰なのか?はたして本当に自殺だったのか?
作者の意図として、警察官でない人間がなぜ事件の謎を解こうとするのか?謎を解くことによって、何を得ようというのか?という発想の元に書かれた小説だそうですが、その意図はわかります。そのテーマに対する解答もそれなりに納得できます。
でも、果たしてこの小説が面白いかというと、うーんどうなんですかね。とにかく死んだ美月や友人5人達の魅力が乏しいというか、どうも人間味が感じられないんですよね。あくまで推理合戦の一要素で終わってるというか。
だから、最後に明かされる真相とその後の展開も、読んでて他人事みたいな感じがしていまいち入り込めなかった。事件の動機そのものは、目新しくないもののうまく処理すればそれなりに感動できる素材な気がするだけに、東野さんや伊坂さんがこれ書いてたら、と失礼な事を想像してしまいました。
というか、美月の死に関わった人間(美月かもしれないし、ほかの誰かかもしれません)がなぜそれをしなければならなかったのか、という部分に対して単なる身勝手な人間にしか思えないのがね~、こっちとしては一番きつかった。「走れ、メロス」が事件解決に絡んでくる件も、着想は面白いんですけど唐突すぎるかなあ~。
うーん、どうも一向に弱点が治らない気がしてしょうがない作家ですわ。
(2005.12.2 ブログ再録)