たいりょうのちょっと一息

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『『セリヌンティウスの舟』(☆2.2)  著者:石持浅海

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ルールはひとつ。信じること。 メロスの友の懊悩を描く、本格の新地平! 荒れ狂う海で、六人のダイバーはお互いの身体をつかんで、ひとつの輪になった。米村美月、吉川清美、大橋麻子、三好保雄、磯崎義春、そして僕、児島克之。 石垣島へのダイビングツアー。その大時化の海で遭難した六人は、信頼で結ばれた、かけがえのない仲間になった――。そんな僕らを突然襲った、米村美月の自殺。彼女はダイビングの後の打ち上げの夜に、青酸カリを飲んだ。その死の意味をもう一度見つめ直すために、再び集まった五人の仲間は、一枚の写真に不審を覚える。青酸カリの入っていた褐色の小瓶のキャップは、なぜ閉められていたのか? 彼女の自殺に、協力者はいなかったのか? メロスの友、セリヌンティウスは「疑心」の荒海に投げ出された!

Amazon紹介より

 

今、自分の中でどう評価していいか悩んでる作家の一人、石持さんの最新作(?)です。
内容としては、大切な友人の死を巡ってその真相をつかもうとする五人の友人たちの推理合戦っていうんですか。
彼女は何故自殺したのか?自殺に協力した人間がいるのか、いるとしたら誰なのか?はたして本当に自殺だったのか?

作者の意図として、警察官でない人間がなぜ事件の謎を解こうとするのか?謎を解くことによって、何を得ようというのか?という発想の元に書かれた小説だそうですが、その意図はわかります。そのテーマに対する解答もそれなりに納得できます。

でも、果たしてこの小説が面白いかというと、うーんどうなんですかね。とにかく死んだ美月や友人5人達の魅力が乏しいというか、どうも人間味が感じられないんですよね。あくまで推理合戦の一要素で終わってるというか。
だから、最後に明かされる真相とその後の展開も、読んでて他人事みたいな感じがしていまいち入り込めなかった。事件の動機そのものは、目新しくないもののうまく処理すればそれなりに感動できる素材な気がするだけに、東野さんや伊坂さんがこれ書いてたら、と失礼な事を想像してしまいました。

というか、美月の死に関わった人間(美月かもしれないし、ほかの誰かかもしれません)がなぜそれをしなければならなかったのか、という部分に対して単なる身勝手な人間にしか思えないのがね~、こっちとしては一番きつかった。「走れ、メロス」が事件解決に絡んでくる件も、着想は面白いんですけど唐突すぎるかなあ~。

うーん、どうも一向に弱点が治らない気がしてしょうがない作家ですわ。


(2005.12.2 ブログ再録)