『生首に聞いてみろ』(☆4.0) 著者:法月綸太郎

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51-pmAiZD4L._AC_US400_FMwebp_QL65_.jpg


首を切り取られた石膏像が、殺人を予告する―著名な彫刻家・川島伊作が病死した。彼が倒れる直前に完成させた、娘の江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られ、持ち去られてしまう。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。三転四転する謎に迫る名探偵・法月綸太郎の推理の行方は―!?幾重にも絡んだ悲劇の幕が、いま、開く。

Amazon紹介より

 

前の長編から、長い間またされ続けてやっと出ました。本屋で見つけた時は即買いでした。
タイトルが発表されてから、何年経過してたんですかね~(笑)

前までの、悩みまくりののりりんはどこへやら(笑)、今回は結構普通の探偵になってますね。
中身はというと、『誰彼』を彷彿させる、パズラー小説に近いですね。
ただ彼が、ロジックに偏って、若干(?)小説のバランスが崩れて読みにくいのに対し、こちらの方はすっきりまとまってていて、推理そのものの純粋な面白さが楽しめます。

はっきりいって、犯人自体は分かりやすい方だと思います。
それでも面白いのは、「なぜ、彫刻は首を切られればならなかったのか?」、という命題を巡る思考の展開が、緻密に組み立てられているからだと思います。
この切れ味は本家クイーンに匹敵すると思いますね。

かなりシンプルな小説なので、ちょっと物足りない人もいるかもしれませんが、最近ではあまり読むことの出来ない純粋推理思考小説として、一読の価値はあると思います。

 

(2005.11.12 ブログ再録)