『雪密室』 著者:法月綸太郎

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高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する、出色本格推理。
Amazon紹介より
 

長編第2作にして、いよいよ法月綸太郎が登場。親父である法月警視とのコンビはまさにクイーン親子ですね♪

今回はまさに古典的な設定で、雪の中の足跡の無い殺人を扱ってます。
まず、被害者の女性の設定自体が、昭和の香りを漂わせてますね。人の弱みを握る事に生きがいを感じているというか、そりゃ殺されるわね。
周りの登場人物もみんな怪しいし(笑)

今作で登場する中山美和子なんですが、のちにあんな大きいポジションを占めるとは思いませんでした。ラストの法月警視との密談の段階で、作者はやっぱり続編を意識してたんでしょうかね。

作品としては、若干面白みには欠けるかもしれません。
トリックそのものは、『密閉教室』に比べると、全然良い出来ですが(笑)、このジャンルに新しい一石を投じるところまではいってないのかな。
ストーリー全体も、ちょっと2時間ドラマチックなノリなので、若干読んでてもの足りなさは残るかも。

でも、前作・今作、そして次回作『誰彼』と試行錯誤を繰り返している著者のひとつのモチーフとしては、面白く読める作品だと、個人的には思っています。

 

(2005.10.18 ブログ再録)