勤め先の二階にある「名探偵・巫弓彦」の事務所。わたし、姫宮あゆみが見かける巫は、ビア・ガーデンのボーイをしながら、コンビニエンス・ストアで働き、新聞配達をしていた。名探偵といえども、事件がないときには働かなければ、食べていけないらしい。そんな彼の記録者に志願したわたしだったが…。真実が見えてしまう名探偵・巫弓彦と記録者であるわたしが出逢う哀しい三つの事件。
Amazon紹介より
これは、北村さんの作品の中でも完成度はかなり高い方じゃないでしょうか。 1つ1つの作品がすべて印象に残る、素敵な1冊!!
やっぱり、巫冬彦の放つ1つ1つの言葉の含蓄が堪らない♪
「≪名探偵≫というのは、行為や結果ではないのですか」 「いや、存在であり意思です」
カッコいい!!
この部分だけとると、「単にキザなだけやんけ!!」とも思えますが、巫冬彦の行動が名探偵の「存在と意思」をばっちり再現してくれてます。 お勧めは表題作の『冬のオペラ』。 犯人の動機や何故そんな細工をしたのか?
巫が解き明かすそのあまりに悲しく、重い真実に、思わず犯人に感情移入してしまいました。北村作品の中でも、短編ベスト3には入る一品です。 他の連作集に比べ、より人間というものに突っ込んだ作品だけに、その美しさも際立ちます。 何度読んでもいいものはいいのです♪