邦画『スウィングガールズ 』 監督:矢口史靖

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 『ウォーターボーイズ』の矢口史靖監督のガールズ版『ウォーターボーイズ』ともいうべき作品。
  野球部の応援に行った吹奏楽部にお弁当を運んだ補習クラスの女子だったが、炎天下、チンタラ運んでいたせいで、お弁当は腐り、吹奏楽部は体調を崩してしまう。ひとりだけお弁当を食べなかった男子・中村は、即席吹奏楽部を作ろうと思いつく。責任をとらせようと補習クラスの女子を誘うが、吹奏楽をやるには人数が足りなかったため、ビッグバンドでジャズをやることに。でも女子たちは楽器などロクにやったことがなかった…。
                                       amazon紹介より
 

 「ウォーターボーイズ」は非常に好きな映画だったので、今回も楽しみにしていたのですが・・・

 とにかく前半があまりにスローテンポ。とにかく上野樹里扮する主役の女子高生になかなか感情移入できない。とにかく行動のだらけたスタンスにちょっと戸惑ってしまって。前回の妻夫木聡が演じた主人公も、どこにでもいる普通の駄目高校生だったですが、何かその仕草や行動に好感を覚えたのですが、今回はちょっとリアリストな存在の部分に、フィクション的な魅力を感じませんでした。

 こうなると、主人公がスウィングジャズに目覚める過程に説得力が若干薄く感じてしまう。おそらく一般的な女子高生はこうなのかもしれませんが、見たいのはドラマであってそこらをうまく処理してほしかったなあ。なんか竹中直人も空回りだし。

 しかし、いったんバンドを組むと、物語のテンポが一変します。彼女一人一人の必死さが伝わってくるというか。「ウォーターボーイズ」はシンクロの技術よりもその過程の青臭さが面白かったのですが、今作は純粋に音楽の楽しさ・心地よさが気持ちをこめて伝わってきます。よこまあ、ほとんど楽器素人の彼女たちがここまでやったなあ。確かに未熟な部分も多いのですが、彼女たちの表情で補われていると思います。

 しかしラストあっさりしすぎてませんか?未来の彼女たちを想像させる事なくいきなり終わってしまいます。なにか突然放り出されたような感覚はオープニングのテンポにつながる感じ。おそらく監督はその部分を意図的に排除してるのだとおもいますが、成功してるとはいいがたいかなあ。重要なバンドシーンが素敵な仕上がりになっているので、もう少し肉付けをすれば、もっと心に残ると思いました。