邦画『姑獲鳥の夏』  監督:実相寺昭雄

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昭和20年代末の東京。雑司が谷にある大病院に奇妙な噂が。なんと院長の娘が20ケ月もの間妊娠、しかも娘の夫が忽然と姿を消したという。さらにこの病院で新生児が姿を消したり、元看護婦が謎の死を遂げたりも。これらすべての事件を古本屋の店主であり陰陽師でもある京極堂が解いていくことに……。
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 さて、京極夏彦です。この人の登場は、間違いなくミステリー界に大きな衝撃を与えたと思います。作品はもちろん、ビジュアル面も含めて今までミステリーを読んだ事のない人も取り込み、1大ブームを巻き起こしました。

 そのデビュー作であり、のちにメフィスト賞創設のきっかけにもなった『姑獲鳥の夏』の映画版。監督は実相寺昭雄!!ウルトラマンシリーズや嶋田久作明智シリーズ大好きな僕にとってはもう、期待しまくりです。
 ただ不安なのはキャスト陣。CMから異彩放ちまくりのいしだあゆみはともかく、うーんな人選がちょっと不安。さらには、結局あの原作をどう映像化するのかのという一番の問題が・・・。

 感想はというと、うーん、ちょっとなあ・・・って感じでした。
 やはり、一番の問題は原作の処理に問題が・・・というか、これ、はなから無茶なところなんじゃ(笑)。原作未読の人は、おそらく置いてかれっぱなし必至な展開の速さです。しかも省略しすぎて、人と人の繋がりもよく分からないままなので、これだとちょっと原作の持ち味は出ないかな。

 キャストはというと、結構これはこれでいいんじゃないかと。堤さんの京極堂はちょっと軽すぎかもしれませんが、永瀬さんの関口や田中麗奈の敦子なんかはイメージぴったり。榎木津が普通だという意見もあるとは思いますが、原作を読み返すと、意外にこの作品では普通な行動してるので、実は間違ってないのかも。個人的にイチバンいい意味で裏切られたのは木場修の宮迫かなあ。少しごつさはないですが、意外とイメージ通りだったかも。

 結局、この映画は京極夏彦の映画化作品ではなく、実相寺映画なんですな。この世界が好きか嫌いかで、もう完全にわかれちゃうような。まあ、京極先生も、「小説と映画は別物。京極堂が女でもかまいません。」って言ってるので、原作ファンの方、おおめに見てやって下さい。