たいりょうのちょっと一息

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龍臥亭幻想 著者:島田荘司

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幻想の霧が龍臥亭を覆う。 巨匠・島田荘司渾身のロマネスク本格の傑作! 石岡和己、犬坊里美、そして加納通子――。雪に閉ざされた龍臥邸に、八年前のあの事件の関係者が、再び集まった。雪中から発見された行き倒れの死体と、衆人環視の神社から、神隠しのように消えた巫子の謎! 貝繁村に伝わる「森孝魔王」の伝説との不思議な符合は、何を意味するのか! 幻想の龍臥亭事件が、いま、その幕を開ける!。
 

 今回はカッパ・ノベルスから出版された島田荘司作『龍臥亭幻想』です。これは同作者の『龍臥亭事件』から8年後、事件の関係者が再び龍臥亭に集まる日に起きた事件を描いています。
前作では、実在の事件である津山30人殺し(横溝正史の『八つ墓村』の下敷きなった事件でもあります)の犯人都井睦夫の因縁と、昭和初期の山村の閉鎖的因習が原因の悲劇でしたが、今回も村に伝わる「森孝伝説」にまつわる事件です。

 事件は「森孝伝説」を彷彿とさせる死体の消失、そしてバラバラ死体の登場といった不可解な展開を巡り、前作の探偵役でもある石岡和巳がその謎に立ち向かいます。

 この作品の売りは、著者が生み出した2大探偵御手洗潔と吉敷武史(吉敷は警視庁の警部ですが)の競演です。
 この2人は、第3者を通じては因縁があるのですが、直接は同じ事件を扱ったことはありません。そんな2人のヒーローの競演なわけですから、ファンには堪らない・・・はずでした。
 しかし、今回御手洗は外国にいる設定なので実際はほとんど吉敷メイン。それも最後の最後に登場するといった感じでちょっと肩透かし感が残りました。まあ本格的な競演は次回以降のお楽しみということで。

 さて、実際の小説の感想はどうだったかというと、小粒ではありますが、よくまとまった綺麗な作品だと思います。この著者の作品に見られるような破天荒な謎解きは弱めですが、タイトルにもあるような幻想的な世界にウエィトが置かれている事に関しては、これはこれでいいんじゃないかと。
 ただ、作品として後日談的な要素もあるせいか、逆に逸脱できずに面白さが限定されてしまった部分もあるかなと。まったく別の作品として処理できればもっと違った面白味が感じられたのかもなー。