MY BEST オールタイム 想い出の日本ミステリィ長編版

ということで、僕の今まで読んだ推理小説中で思い出に残っているベスト5を紹介してみましょう。
ちなみにこれは、総合的に素晴らしいと思った推理小説ではなく、なにか心に残ったという基準なので、それぞれの著者のべストと思われる小説を選んでる訳ではありません。総合的なランキングをつけたら全然違うものになるでしょう。
ということで、

第5位 霧越邸殺人事件  綾辻行人

推理小説ファンには言わずと知れた綾辻さんの代表作の一つですね。何が心に残るって、やっぱ“霧越邸”の存在そのもですよ。ある意味、館シリーズよりも館しちゃってるというか。こういう解決出来ない不思議な力というか、ちょっとオカルト的な要素は結構好きなんです。しかもこの作品では、その要素が物語の情景と有機的に結びついてると思うのでなおさら1票。ちなみに犯人の動機も印象深い。あまり理解はされない動機だとは思いますが、僕個人としては何故か共感できるような・・・

それはさておき、続きましては

第4位 そして扉は閉ざされた  岡嶋二人

偉大なるクイーンと同じく、2人の作者の共同ペンネーム岡嶋二人の最後の長編(クラインの壺の方があとなのかなあ?)。死んだ同級生の母親によって無理矢理シェルターに監禁された4人がその真相を突き止めよう、といった粗筋のこの作品。なぜ4位かというと・・・・わかりません(笑)。どこが思い出に残ってるかというと・・・わかりません(笑)。ようするに理由はよく分からないけどなぜか印象に強烈に残ってる作品。いつか自分の手で映像化or舞台化したいと思ってたら、すでに舞台化されてました。
うーん、残念。。。

さてさて、とりあえず次に行きます。

第3位 頼子のために  法月綸太郎

探偵小説に苦悩しまくる姿がまさに和製クイーンの法月先生の第4作。娘を殺された父親が犯人に復讐する姿が描かれた手記形式で描かれた前半。そこに隠された真相に迫る探偵法月の苦悩が描かれた後半。本家クイーンが『中途の家』やライツヴィル物で大きな転換期を迎えたように、早くもこの作品で著者の転換期が訪れてます。あまり詳しくはかけないのですが、そのロジックの組み立てと事件に隠された家族の悲劇性と真相の哀しさは完全にツボです。もしかしたらこれから先1位や2位がランク外に消えても、この作品がランク外になる事は無いでしょうな。ちなみにいわゆる新本格といわれる作品群で初めて読んだのがこの本であり、唯一サイン本を持ってる小説であります。

さて惜しくも(?)1位になれなかったのは

第2位 異邦の騎士  島田荘司

 いよいよ島田御大の登場です。壮大なトリックを仕掛けた数々の作品群、哀切感の漂う吉敷シリーズ、そしてなにより新本格の書き手達を世に送り出しまくった、いろいろな意味で現在のミステリー界の重鎮。
そんな御大も過去にはこんな作品も書いてるんですねえ。記憶を無くした主人公が、偶然出会ったヒロインと愛を育てながらも、過去の自分を探す、といったお話。とにかくヒロインの行動が切なくて切なくて泣けてしまいます。著者の作品に登場するの女性達の中では加納通子と同じくらいファンの心の中に残ってるんじゃないですか。少なくとも僕はそうです。ちなみに完全改訂版はまだ未読。

さていよいよ、残すは1作品。

第1位 生きる屍の死  山口雅也
最近の元気の無さが気になる山口雅也の処女作にして最高傑作。評論家として名声を得た作者の待望の作品でしたが、期待にたがわぬ素晴らしい出来!!死体が甦るという設定のパラレル・ワールドで、なぜ犯人は殺人を繰り返すのか?特殊な設定を生かしきったロジックの素晴らしさと世界観、そしてパンク探偵の格好良さ!!個人的にすべてがお気に入りです。とにかく読んで下さい。読まないと間違いなく損します。ちなみにこの作品も最後は号泣。

こう振り返ると、とにかく泣いた小説が多いなあ。。。。