『暗闇坂の人喰いの木』

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さらし首の名所暗闇坂にそそり立つ樹齢2千年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ?近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とはなにか?信じられぬ怪事件の数々に名探偵御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨をきわめた。本格の旗手が全力投球する傑作。

amazon紹介より

この作品あたりから、御手洗シリーズはド派手な大作シリーズに突入しはじめました。
ちなみに、僕の御手洗体験は多分この作品が最初だったんじゃないかな~。あまりのインパクトに親父の書棚から『占星術殺人事件』を引っ張り出したような記憶が。

冒頭の異国の物語、神隠しにあった子供、嵐の通った後に現れる不可思議な死体。
どれをとっても謎に満ち溢れてて、読みながらワクワクしますね。
でも、異国で起きた「巨人の家」の真相は簡単すぎるでしょ、これは。『斜め屋敷』のアレといい、こういう図面的なものは実は下手なのかしら?

トリックそのものは、短編集に使われたものを再度使用してますが(もしかしたら逆?)、仮にそっちを読んでても思いつかないでしょうな。
というか、こんな馬鹿げたトリックを編み出した犯人と、幻想画家に万歳ですよ。
『北の夕鶴~』のトリックも相当驚きましたが、ある意味遥かに上を行ってます。わざわざ、こんな事までしなくても(犯人の結末を考えるとなおさらそう思います。)

この作品には、のちのシリーズのヒロインとなる松崎レオナが登場しますが、この頃はまだまともです(笑)。これ以降の作品では、どんどん壊れていく(?)彼女が楽しめますが、ホントにいろいろな意味で不幸な女性だなあ~。
逆にこの頃から、御手洗も初期のエキセントリックさがだんだん薄まっていって、人間性に変化が見られると思うんですけど。
どっちの御手洗もファンにはたまらないでしょうね(笑)

プロット3.5(そんなに複雑じゃないよね。犯人はある意味卑怯じゃないかなあ)
トリック4.0(ある意味すごい。これを再利用する作者もすごい)
ストーリー4.0(レオナは好きじゃない。でもそんな彼女に惹かれる石岡君はいいね♪)


総合4.0