『シャム双生児の謎』

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古いインディアンの集落を背景に、異様な境遇をもったふたりの人物を登場させて、怪奇な殺人物語が展開される。 エラリーの長い犯罪捜査の経験の中で、官憲の手を借りず、独力で快刀乱麻を断った最初の事件でもあった。 刑事も、指紋係も、検屍官もひとりとして登場しない、エラリーの「国名シリーズ」の中で珍重すべき一編である。 意外な後味の良さでも定評のある本格推理長編

amazon紹介より




ついに国名シリーズの「読者への挑戦状」も途切れてしまいましたね~。で、容疑者が結構限られてる(時代別に見てみると「エジプト十字架」「ギリシャ棺」を除いた4作が、不特定多数の容疑者がいる設定なんですね)、いわゆる「孤島物」ってやつですか?

シャム双生児の設定があまり本編に影響を与えてない気がするのは、彼らの人間性だからでしょうか。これを横溝が描いたらバリバリのドロドロ物になりそうですな(『悪霊島』がそうですね)。

とりあえず、あんな状況下でも真犯人を探そうとするエラリーの姿は、まだまだバリバリ。真相を聞こうとする人達もある意味凄いですが。
でも今回ばかりはエラリーの推理も空回り気味。あっちこっちに矛先が飛びまくります(笑)。そりゃそうだろ、死が眼前に迫ってるんだもん。でも、この推理の転がし方が面白かったりするんだよね~。

確かにいろんな意味で「国名シリーズ」の中でも異色の作品ですが、個人的に結構お気に入りの一冊ですね。
ちなみに、この小説の推理の展開に関する考察を、北村薫さんが『ニッポン硬貨の謎 ~エラリー・クイーン最後の事件~ 』で詳しく述べているので、気になる人はそちらを読まれてはどうでしょうか。