道 監督:フェデリコ・フェリーニ

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サーカスの芸人世界に憧れるフェリーニが、大道芸人のわびしい浮浪生活を描いた名作。頭の弱いジェルソミーナは、夫ザンパノの女と酒、暴力三昧の生活で自信を失い、何度も彼のもとから逃げようとする。そんな時、ある青年に出会う。ジェルソミーナは彼によって勇気づけられ、夫と生きていくことを決心する。しかし、ザンパノが青年を殺してしまったことから、事態は変わっていく…。
美しい心をもつジェルソミーナは何度も夫を信じ、その度に裏切られる。大道芸人の笑顔という仮面の下の悲しみを表情豊かに、フェリーニの生涯の妻ジュリエット・マシーナが演じている。本作は最も感動的なフェリーニ作品として知られ、ベネチア映画祭ではサンマルコ獅子賞に輝いた。アカデミー外国語映画賞受賞作。


amazon紹介より




いきなりフェリーニです。外国人の監督では、特に好きな監督の一人です。この監督の作品は、うーん結構わけのわからん映画(特にタイトルに『フェリーニの~』がついてたら危険!!)も多いのですが、その中でも分かりやすく、また一番人気のある作品ではないでしょうか。

なぜこの作品が好きかというと、とにかく人の心の弱い部分、強い部分を、そして人生観を見事に直撃してくれるからだと思います。

「この世にあるものは、みんな何かの役に立つ。この小石でも、きっと何かの役に立つんだ」

この言葉、当たり前の事なんだけど、弱い僕らにとっては忘れがちなものだと思います。そして失ったものはどんなに嘆き悲しんでももう戻らない、という現実を突きつけるラストのザンパノの号泣シーンは何回観てもん涙がこぼれます。

僕の一番好きな外国の映画女優が、ヒロインのジェルソミーナを演じた ジュリエッタ・マシーナ です。この映画で見せた、おかしみのある無垢な魂ともいうべき存在を表現した彼女の演技は、さすが女チャップリンと呼ばれるだけの事はある、一世一代の熱演を披露してくれます。日本で彼女の演技を見る機会はフェリーニ作品ぐらいしかないのが残念ですが、その中でもフェリーニの妻に対する愛情の結集ともいうべき 魂のジュリエッタ も忘れられません。

彼女だけではなく、ザンパノを演じた名優 アンソニー・クイン の荒々しいまでに動物的な存在感。青年を演じた リチャード・ベイスハート の優しい眼差し。そしてイタリア映画音楽界の巨匠 ニーノ・ロータ の紡ぎだす主題曲の哀しい旋律。すべてが幸運な出会いをした、忘れられない1本です。